初冬に収穫し貯蔵しているえぞ山わさびを手にする高橋英樹さん。
東野幌で高橋農場を経営する農家の三代目高橋英樹さんは、平成8年から約20年間、えぞ山わさびを生産しています。
味の良さもさることながら、収穫後に変色を防ぐための薬品処理などを行わないこだわりもあり、今ではスーパーでの販売だけではなく、銀座の高級鮨屋やコンビニエンスストアからの引き合いもあるそう。
twitterで検索してみたところ、発寒にあるかねしげ鮮魚店さんでもかじかの子醤油漬けにえぞ山わさびが使われていました。
江別の「えぞ山わさび」in自家製「かじかの子醤油漬け」🎶#北海道 pic.twitter.com/88nfhxwXXi
— 発寒かねしげ鮮魚店 (@kaneshigesuisan) 2018年2月7日
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また、高橋農場では、高橋英樹さん自身の名前を冠した“英”倶楽部(読:はなくらぶ)というブランドで、えぞ山わさびの醤油漬も加工品として生産しており、江別の野菜直売所で買うことができる人気商品になっています。
 今回は高橋英樹さんの農場にお邪魔して、自慢のえぞ山わさびについて教えてもらいました。
ちなみに「えぞ山わさび」という名称は、北海道の山わさびだからえぞ山わさびがわかりやすいだろうと高橋英樹さんが付けた名称が広まっているそうです。
ユーモア溢れる高橋英樹さんからえぞ山わさびの魅力をインタビュー形式でご紹介します。
もくじ
実はそもそも農家どころか仕事自体をしたくなくてね(笑)
学生時代は小学校の体育の先生になろうと思ってたんですよ。
なんとなく休みが多そうだという理由で。
でも、先生の試験には落ちてしまい、なんとなく警察学校に行くことになったんです。
それで警察学校時代に狸小路をぷらぷら歩いているときに、露天でやまわさびを一本1,000円で売っているのを見たんですね。
当時は北海道のやまわさびは流通になかったのか、本州から持ってきたものが高値で売られていたんです。
その時はこれは作れば売れる作物だな、というくらいの印象でした。
えぞ山わさびを擦りながら、当時を語る高橋さん。
その後、警察を2年で辞めて、農家になった時に、江別の農家仲間と行ったねるとんパーティの三次会でまた山わさびと出会うことになります。
冷や奴が400円で売られているお店で、冷や奴の山わさび乗せが800円で出されていたんです。
これが山わさびを作ろうと思ったきっかけです。
ちなみにそのねるとんパーティには、今江別でえぞ但馬牛の生産改良組合長をしている松下さんも一緒でしたね。
ねるとんに一緒に行った農家仲間で同じ「えぞ」の冠がついたブランドで江別の農畜産物を盛り上げてますよ(笑)
えぞ但馬牛を育てる八紘農場代表取締役の松下博樹さん
昭和46年に兵庫県の但馬地方から導入された黒毛和牛をルーツとし改良を重ねてきた「えぞ但馬牛」。
松下博樹さんは江別和牛生産改良組合組合長として、えぞ但馬牛の普及と発展のリーダーシップをとっています。
えぞ但馬牛は、すすきのの銘店 すき焼しゃぶしゃぶ”牛のいしざき”で提供されています。
また、年に数回、江別市民会館で行われる直販会で販売されるほか、江別農業まつりや江別やきもの市などのイベントでも食べることができます。
実は農家経営の側面からも山わさびには助けられています。
通常、北海道の農業は冬の期間はできないので、パートの方なんかはその期間違う仕事をするんですね。
そして条件が良ければそっちに行ってしまうので、腕のいいパートの方がいなくなってしまうという問題がありました。どうにか、パートさんも含めて通年雇用ができないか、というのが経営の課題でした。
冬の間に外に働きに行くのも一つのアイデアですが、それだと兼業農家になってしまいます。
専業農家として一年中農業の仕事をするにはどうしたらよいか。
これをえぞ山わさびが解決してくれました。
えぞ山わさびは、春に植え付け、初冬に霜が降りてから、雪が積もるまでの間に収穫します。
収穫したものを貯蔵し、泥を落としてから出荷するのですが、冬から春にかけてもその作業を行うので冬の間も農家としての仕事があるんです。
今では、えぞ山わさびが主力の生産物の一つになっています。
霜が降りる前のえぞ山わさびは実は青臭くておいしくないんです。
夏の間に葉っぱに蓄えられた栄養が、霜が降りると根に降りてきて、甘みと辛みが増しておいしい山わさびになるんです。
皮のキワが一番甘味が強くて、うちの山わさびは糖度15パーセントくらいあるものもあります。
糖度の高さは香りの高さに繋がるんです。
「皮のキワが一番甘いんですよ。」一緒に取材に入ったコープさっぽろ広報誌「cho-co-tto」のライターさんに丁寧に説明をする高橋さん。
山わさびってすぐに白かびが付いたり、切り口や皮が赤くなったりするんですよね。
次亜塩素酸や塩水で処理することである程度防ぐことができるのですが、どうしても独特の苦みが出て山わさび本来の味が損なわれてしまうんです。
高橋農場では、薬品処理を行わずに山わさび本来の味のまま出荷するようにしています。
水だけを使い洗浄されたえぞ山わさびが積まれるコンテナ。
山わさびは、しょうがと違って腐りにくいんです。表面に白カビは生えますが、たわしで落とせば問題ありません。
切り口はどうしても赤く変色しますが、これも切り落とせば問題ないんです。
乾燥には弱いので、ラップでくるんで冷蔵庫で保存すれば、ずっと持ちますよ。
冷凍しておいて、その都度するというのも手です。
すりおろし立てのえぞ山わさびに、醤油をかけて熱々のご飯に乗せると何杯でもおかわりできますよ。
また、めんつゆやポン酢もおいしいです。めんつゆは、辛みもマイルドになるのでお子さんも食べやすいです。
めんつゆとポン酢をかけると驚くほど味がまろやかに。
生の山わさびと違って、箸やスプーンですくうだけなので手軽にご飯のお供にしていただけます。
最初、えぞ山わさびの醤油仕立てと、がごめ昆布和えを作ったのですが、それらが人気になり、他の味の要望も出てきて、今では、6種類の加工品を作っています。熱々のご飯にかけてもおいしいし、冷や奴、そばの薬味に加えるだけで簡単な食材がおいしい一品になりますよ。
えぞ山わさび以外の原料にもこだわっていて、”えぞ山わさびーなめたけー”では、いろいろななめたけの食べ比べをし、長野県のなめたけを選び抜きましたし、”えぞ山わさびーマヨネーズソース”でもさまざまなマヨネーズを食べ比べて厳選しました。
えぞ山わさびマヨネーズは、ぴりっとした辛みと風味がアクセントになっていて、野菜サラダやサンドイッチ、手巻き寿司にも抜群の相性です。
高橋農場のパンフレット。是非、えぞ山わさびの加工品についてもご賞味ください。
コープさっぽろの広報誌「cho-co-tto3月号」では、高橋農場のえぞ山わさびが特集されます。
cho-co-ttoは家庭宅配サービス”トドック”で各家庭に配られるほか、コープさっぽろ各店舗でも配布されます。誌面でも江別のえぞ山わさびが特集されるなんて楽しみですね。